収益物件を相続した場合、遺産の分割方法を決める「遺産分割協議」の最中にも収益が発生しています。
遺産分割協議の間に発生した収益はどのように扱われるのでしょうか。
また、遺産分割協議後の収益物件の扱いも気になりますよね。
この記事では、収益物件を相続した場合の遺産分割協議や法定果実について、わかりやすく解説します。
これから収益物件を相続する予定のある方や、相続した方は参考にしてみてください。
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不動産を相続したときには、収益物件から発生した「法廷果実」で揉めてしまうことがあります。
ですが、「法定果実」と言われてピンときませんよね。
ここでは、「法定果実」と「天然果実」、収益物件とはなにか解説していきます。
収益物件とは
収益物件とは、賃貸マンションや賃貸アパート、テナント物件などの毎月一定の家賃収入を得る目的で購入した不動産のことです。
法廷果実と天然果実
「果実」は法律用語です。
物からでる利益のことで、「法定果実」と「天然果実」の2種類の果実があります。
「法定果実」とは、不動産収入や土地の地代、金銭の利子などの収入のことです。
収益物件で得られた収入も「法定果実」とみなされるので、この記事では主に「法廷果実」について解説していきます。
「天然果実」は物から産出される収益物のことです。
たとえば、桃の木から採れた桃や牛から絞った牛乳なども「天然果実」に含まれます。
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収益物件を相続!遺産分割協議前の法定果実はどうなるのか
収益物件を相続した場合、遺言書にのっとって相続を決めます。
ですが、遺言書がなかった場合には、法定相続人同士で話し合いをしなければなりません。
その間にも、もちろん収益物件からの収益は発生しています。
では、遺産分割協議が決定するまでの「法定果実」はどのように分配されるのでしょうか。
遺産分割協議とは
遺産分割協議を簡単に言うと、法定相続人同士で遺産の分割について話し合うことです。
法定相続人とは、遺産を相続する権利のある人のことを指します。
一般的には、被相続人(死亡した人)の配偶者や子が「法定相続人」です。
この遺産分割協議に特別な方法はありませんが、いくつか決まり事があります。
●法定相続人が全員参加して話し合いをすること
●協議の結果を書類に残しておくこと
この2項目は必ず守ってください。
また、遺産分割協議で作成する書類を、「遺産分割協議書」といいます。
「遺産分割協議書」の書き方に決まりはありませんが、必要事項の抜けなどがあると効力が弱まってしまうので、登記や条件についてしっかりと記載することが大切です。
「なにを書けばいいかわからない」と悩んでいる方は、遺産分割協議書のフォーマットを配布しているサイトもあるので、調べてみてください。
また、後々争いが起こらないように、公的に有効になる遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士に依頼することをおすすめします。
遺産の分割方法
遺産を分割する場合、金銭ならば分割は簡単なのですが、不動産や物などの分割できない遺産のときには少しややこしくなってしまいます。
不動産遺産の4つの分割方法を確認しましょう。
現物分割
不動産を「そのまま受け継ぐ」方法です。
法定相続人の誰か一人が相続する、または法定相続人同士で「分筆」するのどちらになります。
代償分割
不動産を法定相続人の誰か一人が相続し、他の相続人に法定相続割合に応じた金額を代償金として支払う方法です。
換価分割
不動産を売却し、売却で得られた金銭を法定相続間で分割する方法です。
換価分割では不動産を売却して均等に分け合うので、争いのリスクは少なくなります。
共有
「不動産をわけない」方法です。
話し合いがうまく進まない場合や、トラブルになってしまった場合に「とりあえずそのままにしておく」ことを共有といいます。
共有している間に発生する固定資産税などは、相続人全員で支払わなければなりません。
遺産分割協議前の法定果実の扱い
遺産分割協議をしている間にも、収益物件からの法定果実は発生しています。
そのため、その法定果実の分配方法で揉めてしまうこともしばしばあるようです。
民法上では、遺産である収益物件から発生した法定果実は「遺産とはみなさない」とされているので、「相続分割」の対象ではありません。
よって、相続が発生してから遺産分割協議後までの法定果実は、法定相続人同士で分割して管理するのが一般的です。
遺言書があるケースで法定相続人の間で相続の割合が決められていても、法定果実は均等に分割します。
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収益物件を相続!遺産分割協議後の法定果実はどうなるのか
「遺産分割協議が決定して一安心」と、いかないこともあります。
相続発生から遺産分割協議が終了するまでに発生していた法定果実の扱い方で、揉めてしまうことがあるからです。
ここでは、「遺産分割協議後の法定果実の扱い」と「遺産分割協議後に揉めてしまった判例」について解説していきます。
遺産分割協議後の法定果実の扱い
遺産分割協議後の法定果実の扱いはとてもシンプルです。
収益物件を相続することになった人が不動産の申告や管理をし、不動産収入を得ることになります。
また、一つの不動産を複数人で相続・管理することも可能ですが、権利関係が複雑になることや、売却時に共有者全員の承諾がいるので、売買しにくいことがデメリットです。
遺産分割協議後に法定果実で揉めた判例
遺産分割協議後に、相続発生から遺産分割協議決定までに発生した法定果実で揉めることがあります。
先ほども書いたように、民法では法定果実は遺産とはみなされないので「遺産分割」の対象ではありません。
そのため、遺産分割協議が終わるまでは、収益物件で発生した法定果実は法定相続人同士で分割されます。
ですが、その決まりをややこしくしてしまう民法があります。
その民法は、相続発生から遺産分割協議決定までに発生した遺産を「相続発生時まで遡れる」というものです。
実際に起こった判例で、「遺産分割協議が終了するまでは分割していた法定果実を、相続発生時まで遡り、収益物件の相続人に支払わなければならないのか。」
といった内容の争いが相続人同士で起こり、遺産分割審判後に裁判になってしまいました。
民法上では遺産分割協議後に、相続した不動産の所有時期を相続発生時まで遡ることができます。
そうすると、「不動産を所有していたと扱われるのなら、そこで発生した収益も自分のものになるのではないか」と疑問に思いますよね。
その疑問により、遺産分割協議後に裁判になってしまったのです。
この判例の結論から言うと、最高裁は「遺産分割協議が終了するまでの法定果実は、法定相続人同士で分割するべき」と判断しました。
遺産分割協議によって遺産がどのような分割方法になろうとも、その間に発生した法定果実は法定相続人同士で均等に分割しなければならないのです。
また、相続発生時から遺産分割決定時までの収入や管理費も分割されるので、法定相続人は全員確定申告しなければなりません。
法定相続人同士で揉めないためにも、しっかりとした話し合いが必要です。
話し合いがスムーズにいかない場合には、司法書士や弁護士に相談するのも一つの対策として頭に入れておきましょう。
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まとめ
被相続人が収益物件を所有していた場合、相続発生時から遺産分割協議が終わるまでにも不動産の収益である「法定果実」が発生するので、相続が少しややこしくなってしまいます。
トラブルに発展させないためにも、法定相続人同士でのしっかりとした話し合いが重要です。
うまく話しあいがまとまらない場合には、司法書士や弁護士に相談してみてください。
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