不動産の売買は、見ず知らずのお客さん(第三者)だけでなく身内でも取引が可能です。
そのことを「親族間売買」と呼ぶのですが、一般的な取引とどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では親族間で土地や建物を売買する予定の方に向け、親族間売買のメリットやデメリットをお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてみてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら一般的な不動産売買と親族間売買の違いは?
親族間売買とは、不動産売買における手続きの1つです。
第三者に対して売却する一般的な売買とは以下のような違いがあります。
売却価格
一般的な売買と親族間売買の違いとして、まず売却価格の違いが挙げられます。
第三者へ売却する不動産売買の場合、周辺の相場で売り出し価格を決定するのが一般的です。
購入価格や築年数、設備や仕様に応じて販売価格を決定することも多いでしょう。
しかし親族間売買であれば、売り主と買い主どちらかの希望する価格で土地や建物を売却できます。
お互いが納得すればいくらでも売買が成立し、値引き交渉も自由にできるのが一般的な売買との違いです。
注意点はありますが、相場とかけ離れた極端に安い金額でも売買が成立するのが、親族間売買の特徴といえるでしょう。
控除や特例が利用できない
親族間売買の場合、利用できる控除や特例にも違いがあります。
一般的な不動産売買では問題なく利用できた制度が使えなくなるため、手続きが終わった後、想定外の大きな出費に見舞われるかもしれません。
そのため親族間売買の際は注意しましょう。
利用できない控除や特例として、以下のものが挙げられます。
●住宅ローン控除:住宅ローンを組んで住宅を取得した際、納税済みの所得税が戻ってくる制度
●3000万円の特別控除:売却による譲渡所得がおさえられる制度
●買い替えの特例:もともと住んでいたマイホームの譲渡所得に発生する、譲渡所得課税が先送りできる制度
●10年超所有軽減税率の特例:売却した不動産の所有期間が10年以上で、条件に該当すれば税金負担が軽減される特例
このように一般的な不動産売買では税金負担が回避できる制度も、家族間売買では利用できなくなるので注意が必要です。
住宅ローンが通りにくい
銀行などからの融資が通りにくいのも、一般的な不動産売買との違いです。
住宅ローンは金利が低いローンのため、銀行は住宅以外の目的で融資したお金を使われないか心配します。
親族間売買の場合、親族同士で口裏合わせをおこない、不正に融資を受けることが懸念されるのです。
そのため一般的な不動産売買に比べると、住宅ローンの審査が厳しくなり、否決されたり減額されたりする可能性があります。
不動産を親族間売買で取引するメリット
次に不動産を親族間売買で取引するメリットを見ていきましょう。
仲介手数料がいらない
親族間売買の場合、仲介手数料がいらないのがメリットです。
不動産売買をおこなう際は、仲介業者に売却の仲介を依頼するのが一般的です。
売り主が個人の場合、仲介を依頼した方が集客につながり、早期の売却が見込めます。
大手の仲介業者であれば集客力やポータルサイトへの記載など、個人では難しい売却活動もおこなってくれるでしょう。
しかし、売買が成立した際は仲介業者への報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は物件の代金によって異なるものの、経費として大きな出費になります。
親族間売買であれば仲介業者に仲介を依頼する必要はないので、当然仲介手数料は不要です。
コストをおさえられるのが、親族間売買の大きなメリットですね。
トラブルを回避し円滑な取引ができる
親族間売買は、不動産売買におけるトラブルを防げるのもメリットです。
たとえば境界線トラブルが起きた場合、個人同士では解決がしにくいため、専門家や仲介業者に依頼するケースが多くあります。
親族間であればそのようなトラブルの心配が少なく、安心して取引をおこなえるのがメリットでしょう。
将来、なにかトラブルが起きても身内なら相談しやすく、トラブルの早期解決が見込めます。
相続で揉めにくい
親族間売買で家を継承すれば、相続で揉めにくいのもメリットです。
一般的に現金や預貯金など、わけやすい財産はスムーズに分割ができ、相続も円滑におこなえます。
しかし不動産は相続する財産が土地や建物になるため、簡単に分割できず、相続時に揉めてしまうこともあるでしょう。
また所有者(親など)が高齢になり判断能力が乏しくなると、相続の話し合いも難航してしまいます。
相続は基本的に親が亡くなってはじめて手続きが開始できるため、不明点があっても相続人同士で解決しなければなりません。
親が元気なうちに子どもに家を相続すれば、万が一のときでも揉めることなく相続手続きが完了し、相続人同士のトラブルを防げます。
なにかわからないことがあった場合、親に聞いて解決できるのも親族間売買のメリットですね。
分割払いで支払える
一般的な不動産売買は、決済日に物件代金を一括で支払いますが、親族間売買は分割払いで支払えるのがメリットです。
しかし分割払いが可能なのはローンを完済している場合のみなので注意しましょう。
毎月決まった金額を支払えるので、月々の返済が楽になりますね。
親族間売買で不動産を売るデメリットは?
親族間売買で取引する際、一般的な不動産売買に比べると注意点が多くあります。
では具体的にどのようなデメリットが生じるのでしょうか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
みなし贈与に注意
親族間売買の大きなデメリットは、みなし贈与となった場合、贈与税が発生するという点です。
先ほどもお話ししましたが、親族間で土地や建物を売買する場合、価格を自由に決定できます。
相場より安い価格で取引することもでき、親族間だとそのようなケースが起こりやすいのが特徴です。
親族だからといってあまりにも安い価格で取引してしまうと、みなし贈与となり、相場との差額に対して贈与税が発生する可能性があります。
たとえば相場が3,500万円の物件を2,000万円で売却した場合、差額の1,500万円が課税対象です。
1,500万円が現金で贈与されたとイメージすればわかりやすいでしょう。
このときの譲渡税率は45%になるので、贈与税の計算は以下の計算式で算出します。
●1,500万円×45%=675万円
みなし贈与となった場合、675万円もの贈与税を支払わなくてはならず、税金負担が大きくなるのがデメリットです。
また贈与税は一括払いのため、数百万円が税金で一気になくなってしまうのもデメリットですね。
住宅ローンに落ちたときのことを考えなくてはならない
先述した通り、不動産の親族間売買は住宅ローンが通りにくいのがデメリットです。
事前審査で否決になるケースも多く、住宅ローンを頼った取引はやめておいた方がいいでしょう。
万が一住宅ローンが通らなったとき、現金一括で支払うのか取引をやめるのか、あらかじめ決めておくのが得策です。
審査に出す前に、金融機関や不動産会社、宅地建物取引士の資格を持っている方などに相談してみてもいいかもしれません。
まとめ
この記事では親族間で不動産を売買する予定の方に向け、親族間売買と一般的な売買の違いとともに、メリットとデメリットを詳しくお伝えしました。
トラブルを回避できたり、相続時に揉めたりといったメリットがある反面、贈与税の発生が懸念されるといったデメリットも生じます。
両者を理解したうえで、納得のいく親族間売買をおこなってください。
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