不動産相続をおこなう際、プラスの資産だけでなくマイナスの資産も相続されることをご存じですか?
とくに不動産の場合、ローン残債が残っているケースも少なくありません。
なかには団体信用生命保険ありの場合と、団体信用生命保険なしの場合もあるでしょう。
この記事では不動産相続をおこなう際、ローンが残っていた場合の手続きや、ローンの相続を回避する方法をお伝えします。
土地や建物をお持ちの方や、相続を控えている方はぜひ参考にしてみてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産相続で団体信用生命保険ありのローン残債がある場合
まず不動産相続で、団体信用生命保険ありのローン残債が残っている場合の手続きを見ていきます。
そもそも団体信用生命保険ありとはどのようなことかと言うと、契約者が亡くなったり、障害(高度)を負ったりした際にローン残債の返済がなくなるという制度です。
契約者に万が一のことが起こった際、団体信用生命保険ありであればその保険金でローン残債を返済できます。
住宅ローンを組んで新築一戸建てを建てるなら、もしものことを考え、団体信用生命保険ありのローンを選べば家族はもちろん不動産相続時にも安心できるでしょう。
またマイホームを建てる方の約9割以上が団体信用生命保険ありを選択しています。
住宅ローンの返済というのは20年や30年、35年という風に、長期的に支払っていくものです。
契約時は十分な返済能力があったとしても、長い目で見るとなにが起こるかわかりません。
返済不能になったときのため、住宅ローンを組むなら団体信用生命保険ありへの加入を必須する金融機関もあります。
金融機関に相談する
団体信用生命保険ありの場合、まずは金融機関に契約者が死亡または障害(高度)を負ったことを伝えます。
必要な書類を受け取り記入する
相談後に必要な書類を渡されるので、必要事項を記入し金融機関へ提出してください。
なかには医師に記入してもらう書類もあるので注意しましょう。
書類の提出後、金融機関から保険会社へ連絡してもらい支払いが可能か否かチェックしてもらいます。
金融機関に提出する書類は、以下のものです。
●死亡証明書、死亡診断書、死体検案書(3つのうちどれか)の原本:金融機関からもらう死亡証明書を医師に書いてもらう
●団信弁済届け(死亡用のもの)の原本:金融機関からもらう書類
●住民票の原本:死亡した事実が記載されているもの
障害(高度)を負った際に必要な書類は以下のものです。
●診断書(高度障害)の原本:金融機関からもらう障害診断書用紙を医師に書いてもらう
●団信弁済判定依頼兼弁済届けの原本:高度障害用のもので、金融機関からもらう
亡くなった場合も障害(高度)を負った場合も、審査の可否が出るまでは1カ月から2カ月ほどかかります。
保険金でローン残債が支払われるまでは、不動産相続した相続人がローンを返済しなければなりません。
審査が可決されれば戻ってきますが、不動産相続後、一時的にまとまったお金が必要だということをおさえておきましょう。
抵当権抹消の手続き
次は金融機関に設定されている抵当権を法務局で抹消します。
不動産相続後、残債を完済したタイミングで抵当権の効力がなくなるため、相続人自身で手続きをおこなってください。
不動産相続で団体信用生命保険なしのローン残債がある場合
次に不動産相続で、団体信用生命保険なしのローン残債がある場合の手続きを見ていきましょう。
住宅ローンを組む方の多くは、団体信用生命保険ありに加入しますが、なかには団体信用生命保険なしを選ぶ方もいます。
フラット35という長期固定金利の住宅ローンの場合、銀行などと違い団体信用生命保険なしでもローンを組むことが可能です。
またもともと持っている持病などにより、団体信用生命保険ありが選べないケースもあるでしょう。
もし被相続人が団体信用生命保険なしだった場合、ローンの残債を不動産相続後に支払う必要があります。
家や土地といった不動産を相続する代わりに、その支払い義務も相続するということです。
また団体信用生命保険なしで残債を返済することになった場合、返済する人は原則1人でなければなりません。
「何人かの相続人で一緒に支払っていく」ということはできないので注意しておきましょう。
不動産相続でローン残債の支払いを回避する方法
ではローン残債が残っている状態で、団体信用生命保険なしの不動産相続をおこなう場合、回避方法はあるのでしょうか?
ローンの支払いを回避する方法として、以下のことが挙げられます。
相続放棄
ローン残債の返済を回避する方法として、相続放棄というものがあります。
相続放棄すると返済義務を回避でき、不動産以外のローンなどマイナスの資産の相続も不要です。
ただしローンの返済を回避できる一方、預貯金などプラスの財産も相続できなくなります。
つまり「相続人という立場や権利がもともとなかった」という風にするのです。
相続放棄はプラスの資産よりマイナスの財産の方が多い場合に利用されることが多く、不動産相続ではめずらしいものではありません。
また親→子ども→孫という風に、相続権利は移行していきます。
自分が放棄すると子どもや兄弟に相続権が移るので、回避したから安心とは言えないので注意しましょう。
生前にローン残債を整理
不動産相続が発生する前、つまりローンの契約者が生きているうちにローン残債を整理してもらうのも回避方法の1つです。
相続人に迷惑をかけないよう、元気なうちに話し合っておき、スムーズな不動産相続がおこなえるよう心がけましょう。
●自己破産
団体信用生命保険なしで、さらにローン残債の金額が大きすぎる場合、自己破産すれば不動産相続後の返済を回避できます。
自己破産は借金をすべてなくすための手続きで、抱えている債務をほとんど回避することが可能です。
ただし自己破産すると信用情報機関に事故情報として登録されるほか、官報に名前が載ってしまいます。
破産手続きの依頼には数十万円のお金がかかるのもデメリットです。
●任意整理
団体信用生命保険なしの場合、任意整理も残債の支払いを回避する方法です。
任意整理すれば残債の元金部分だけを支払っていくことになるので、利息がなくなり早期の完済が見込めます。
任意整理も自己破産と同様、信用情報機関に事故情報として登録されるほか、少なからず返済は続いていくので、返済能力があることが条件です。
●ほかの生命保険から支払う
団体信用生命保険なしでも、ほかの生命保険に加入していればその保険金でローン残債を支払えます。
保険金がローン残債を上回っていれば、無理なく支払い義務を回避できるでしょう。
しかし死亡による保険金は相続税の課税対象となるため、金額に注意してください。
法定相続人1人あたり500万円までが非課税なので、5人いる場合は2,500万円までなら相続税は発生しないことになります。
また保険金の金額によっては残債を賄えないこともあるので、その際は返済に充てるお金の準備が必要です。
まとめ
この記事では不動産相続で住宅ローン残債が残っている場合、どのような手続きが必要なのかを見ていきました。
団体信用生命保険ありと団体信用生命保険なしでは手続きの仕方も変わるため、契約者がどのような保険に加入しているのかチェックしておくといいでしょう。
残債の支払いを回避する方法も複数あるので、不動産相続が発生する前に、家族みんなで話し合っておくのが得策です。
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