不動産を相続したら、通常は相続者で相続登記をおこないますが、委任状があれば他人に登記してもらうこともできます。
今回は、相続登記を他人(司法書士など)にしてもらうとき、必要な場合と不要な場合の判断基準、書き方や費用などを解説します。
相続する不動産があって他人に登記してもらう場合には、ぜひ参考にしてみてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら相続登記を委任でおこなう場合に委任状が必要か不要かの判断基準
相続登記を相続者がおこなわない場合は、他人に委任して登記してもらうことができることはすでにお伝えしました。
この場合、通常は必要になりますが不要になる場合もありますので、それぞれ解説していきます。
必要になる場合
基本的に相続者本人以外が相続登記をおこなう際は、必ず必要になります。
名義変更をする大事な手続きなので、ない場合に第三者が申請しても登記できません。
原則として、必ず相続者本人からの委任状が必要になります。
本人が言葉で頼んできた場合や押印がない場合なども、登記することはできません。
ただし、状況によっては不要となるケースがあります。
不要になる場合
原則として相続者本人が登記するのであれば、必要ありません。
さらに、相続者が未成年の場合にも例外的に不要なケースがあります。
一般的によくあるのが、遺言によって「子供に不動産の取得をさせる」と書かれている場合です。
この状況であれば、取得した子供が登記する際には不要となります。
基本的に未成年は、法律上は自分で決められる権限が限定されているため、名義変更などの手続きを成人におこなってもらう必要があります。
こうした場合には、特別代理人を選定して財産を相続し、名義変更などの手続きをする際には不要となります。
特別代理人が選定できないケースもありますが、その際には親権者が登記することで不要になります。
親権者には法律上の手続きを未成年がおこなう場合に、代行できる権限が与えられています。
ただし、公的に親子関係を証明できる書類は必要です。
また、親権者など身寄りのない未成年には「未成年後見人」、未成年以外でも判断能力がないと判断された人に対しての「成年後見人」がいる場合も、不要で手続きがおこなえます。
以上が、必要になる場合と不要になる場合の判断基準です。
相続登記の委任に必要な委任状の内容と書き方
相続者本人や後見人の場合は、委任状を書く必要がありますので、内容や書き方を解説していきます。
代理人や本人の氏名や住所
一番初めに書くのは、委任者(代理人になる相手)、相続人などの氏名と住所です。
記載する際に注意しなければいけないのは、住民票に登録されている住所を正確に書くということです。
現住所と住民票の住所が間違っている場合、申請を受け付けてくれない可能性があります。
登記する目的
登記の目的は「被相続人が不動産を単独で所有していた場合」と「被相続人が不動産を共有していた場合」で、記載方法が変わります。
単独で所有している場合は「所有権移転」とだけ、記載すれば大丈夫です。
共有して所有している場合は、被相続人が所有している分の不動産を移転する旨を書くので「〇〇(被相続人の名前)持分全部移転」という記載をしましょう。
ちなみに、被相続人が単独で所有していたのか、共有して所有していたのかが不明な場合は「不動産全部事項証明書」を見て確認することができます。
所有権移転の原因
ここでは所有権がなぜ移転することになったのかという「原因」を書く必要があります。
原因は「相続」ということになりますが、注意点があります。
相続が発生した正確な日付(例:令和3年1月1日)を、記載しておきましょう。
この相続が発生した日付は、被相続人が亡くなった日付ということになりますので、わからない場合は戸籍で確認できます。
相続人の情報
被相続人から財産を受け継ぐ相続人の情報を記載します。
書き方は「相続人について」という文言の後に、被相続人の氏名を書きます。
その後に、相続人の氏名と住所を書きますが、相続人が1人の場合はこれだけで大丈夫ですが、複数人で共有する場合は人数分の氏名と住所、持ち分がどれだけかも書く必要があります。
たとえば、相続人が2人の場合は下記のように記載します。
●東京都〇〇市〇〇町〇〇番〇〇号
持分2分の1 相続 太郎
●大阪府〇〇市〇〇町〇〇番〇〇号
持分3分の1 相続 次郎
持分を記載する際の注意点として、不動産全体に対する割合を記載してください。
相続する不動産情報
相続人が相続する不動産情報を、不動産全部事項証明書を確認しながら、正確に記載してください。
この不動産情報は土地・建物(マンション以外)・マンションで、それぞれ書き方が変わりますので、それぞれご紹介します。
【土地の場合】
不動産番号 01234567
在所 東京都〇〇市〇〇町〇〇丁目
地番 〇〇番〇〇
地目 宅地
地積 60.23㎡ (共有者 〇〇 持分○分の○)
※共有者がいる場合には、末尾に「(共有者 〇〇 持分○分の○)」と記載します。
【建物の場合(マンション以外)】
不動産番号 01234567
在所 東京都〇〇市〇〇町〇〇丁目
家屋番号 〇〇番〇〇
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 80.75㎡ 2階 70.36㎡(共有者 〇〇 持分○分の○)
※共有者がいる場合には、末尾に「(共有者 〇〇 持分○分の○)」と記載します。
【マンション一棟の場合】
不動産番号 01234567
一棟の建物の表示
所在 東京都〇〇市〇〇町〇〇丁目 〇〇番〇〇
建物の名称 相続マンション
専有部分の建物の表示
家屋番号 〇〇市〇〇町〇〇丁目 〇〇番〇〇
建物の名称 100
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 10階部分 80.25㎡
敷地権の表示
所在及び地番 〇〇市〇〇町〇〇丁目 〇〇番〇〇
地目 宅地
地積 20000.00㎡
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 3000000分の10000 (共有者 〇〇 持分○分の○)
※共有者がいる場合には、末尾に「(共有者 〇〇 持分○分の○)」と記載します。
委任者の署名
ここまで書けたら、最後に作成日と委任者の住所と氏名を記載して、委任者が押印しましょう。
署名する際の注意点は、偽造防止などのトラブル回避をするために、直筆で署名することをおすすめします。
相続登記を委任する際の費用
相続登記は原則、相続者本人がおこなうことになりますが、専門家(司法書士など)に依頼するケースがもっとも多いです。
ここで気になるのは「依頼するといくらになるのか?」という部分ですが、状況次第で変化します。
一般的には不動産1件あたりで、5万円~8万円ほどが相場になります。
注意すべき点は、すべての費用ではなく、あくまで「不動産1件あたりの費用」なので、件数が多いほどかさみます。
さらに、一律定額料金でいえば、もっとも多いのは約10万円~12万円程度です。
価格差の内訳は以下のようになります。
●評価額3,000万未満の場合は約10万円
●評価額5,000万以上の場合は約12万円
●評価額1億円以上の場合は12万円以上
基本的に評価額が多くなるほど、費用も多くなります。
費用を抑える方法
少しでも抑えたいという人は、まず司法書士などの専門家に「どの程度まで依頼するか」という部分をはっきりさせましょう。
丸投げすれば手間は掛かりませんが、作業代行などの手数料が増えるので高くなります。
少しでも抑えたいなら、ご自身で戸籍謄本を取得するなど、できる限りの事前準備をしておくことで、抑えることができます。
まとめ
不動産の相続登記は、原則として相続人本人が行いますが、委任によっても登記することができます。
委任する際には、委任状を作成する必要があるので、書き方をしっかりと押さえておいてください。
司法書士などの専門家に依頼する場合は、予算を考えて丸投げするのか、ご自身でも動くのかを判断してください。
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